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函館市文化・スポーツ振興財団 Foundation for Culture and Sport Promotion in Hakodate

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三原栄吉 (みはら えいきち) 1910年~1990年

函館の老舗(しにせ)レストラン「五島軒」で、”函館の味”を作り60年余、多くの市民に愛された総米斗理長、三原栄吉。

明治43年4月23日、釧路で生まれる。
大正15年、高等小学校を卒業後、住み込みで五島軒に就職する。切っ掛けとなったのは、偶然手にした当時の新聞広告であった。以来この道一筋60年余、五島軒を支えてきた。
朝4時に起きてのたまねぎ剥ぎ、スープ・一品料理の出前、そして皿洗いなどの下働きからこの道の修業が始まった。
三原栄吉を一人前の料理人に育てたのは、五島軒二代目・若山徳次郎であった。徳次郎は、五島軒の基礎をつくった二代目オーナーで、五島軒初代コック長の五島英吉から料理の手ほどきを受け、また東京の帝国ホテルで厳しい修行を積んだ優秀な料理人で、当時は日本で一、二を争う料理人でもあった。栄吉は、徳次郎のもとで数々の料理を学ぶ。フランス料理はもとより、ハム・ソーセージ・ベーコン、そしてジャムやケーキの作り方の指導を受ける。
徳次郎は、シチューに入れるトマト1つとっても、栽培から始まり、その果汁原液を瓶詰めにしてトマトケチャップを製造し、1年間貯蔵して使用したという。また、独自のノウハウを生かして、サケの燻製、ハム・ソーセージをはじめ、シャーベットのもとにするリンゴジャムなどの大半を自家製で賄い、多くのオリジナルメニューやケーキを誕生させた。
五島軒では味に忠実でなくてはならず、一品一品の料理の味も、コック長が必ず最終段階で舌を通し、受け継がれた味はそのまま伝えなくてはならなかった。また、コック長が替わるにあたって、「伝統のともし火を燃やし続けるように」と、代々受け継がれている。
昭和25年、五島軒のコック長となる。栄吉41歳の時である。この時から二代目・若山徳次郎が築いた料理の基礎を自らの手で表現することになる。得意な料理は牛タンのシチュー、アワビのクリーム煮、エビのグラタンなど数知れず、主にフランス料理であったが、日本風の味つけで、独特の世界を築き、市内には多くの三原ファンがいた。常連の一人は、「毛ガニのサラダと地元海産物で作ったスープが絶品だった」と懐かしむ。
昭和59年、栄吉の愛弟子、坂本浩司にコック長をバトンタッチする。その後も五島軒の料理顧問となる。また、市内の料理学校の講師なども務め、主婦などを相手に洋食の普及に尽力する。こうした活動が評価され、61年には料理人の最高賞、全日本司厨士協会アカデミー賞・金メダル紫賞を受ける。
平成2年1月24日、一線を退くまで五島軒の総料理長として函館の味を作り続けた三原栄吉は、内臓出血で突然の死去。享年79歳だった。

本文/「ステップアップ」vol.291(2013.6)より
(写真・取材協力/五島軒、資料/「五島軒創業120年のあゆみ」五島軒発行、「北の文明開化・函館事始め百話」北海道新聞社発行、「箱館昔話」函館パルス企画発行)


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