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松本恵子 (まつもと けいこ) 1891年~1976年

日本最初期の女流探偵作家・松本恵子。

明治24年1月8日、函館市に生まれる。父は札幌農学校(現・北海道大学)の1期生で北海道水産界の先覚者・伊藤一隆。恵子はその次女に当たる。
大正5年、青山女学院英文専門科卒業後、ロンドンヘ遊学し、そこで三田文学に小説を発表していた慶応大学出身の松本泰と出会い結婚する。恵子はロンドン滞在中も、日本の雑誌にイギリス体験記を発表するなど、すでに文才を発揮していた。
大正8年に帰国後、2人で東京・東中野の谷戸に10数戸の文化住宅を建設し、貸家業を始める。この文化村を拠点として夫の泰が「秘密探偵雑誌」を刊行したことで、恵子の才能は一気に開花する。創刊号から中島三郎・中野圭介などの男性名義で小説や犯罪実話の翻訳を寄せる。
谷戸の文化村には、長谷川海太郎・□(りん)二郎兄弟や小林秀雄が長谷川泰子と住んでいたこともある。
大正12年、中野圭介名義で初の探偵小説「皮剥獄門(かわむきごくもん)」を発表する。この年に江戸川乱歩が「二銭銅貨」でデビューしている。「秘密探偵雑誌」の仕事と並行して雑誌「女学生」などに少女小説を発表、こちらは創作集「窓と窓」として、14年2月に奎運社から刊行される。その後の恵子は、探偵小説というよりは、むしろ翻訳家としての仕事に重点を置くようになっていく。アガサ・クリスティーの「アクロイド殺し」、メアリー・ロバーツ・ラインハート「ジェニイ・ブライス事件」、エリナー・グリン「イット」等を翻訳している。
昭和11年から12年にかけて、泰との共訳で「ディケンズ物語全集」全10巻を中央公論社から刊行。これは、チャールズ・ディケンズの長編小説を、人命・地名すべて日本名にし、恵子が原書を見ながら口述して、泰が原稿用紙に書いていくという作業分担でおこなわれたようだ。
昭和14年、松本泰が腸癌で病没。翌年、泰が病床にいるときから手をつけていた、北京の貧民街で教育事業を行う日本人宣教師の妻の評伝「大陸の聖女-故清水美穂子伝」を、本名で刊行する。泰の死後、生活上の必要もあり、多くの翻訳の仕事をこなすようになる。
昭和30年から31年には、単独で「クリスチー探偵小説」を刊行する。この頃から児童文学の翻訳に意欲を示し、45年には日本児童文芸家協会の児童文化功労賞を受賞。
昭和51年11月9日、永眠。享年85歳だった。

本文/「ステップアップ」vol.271(2011.10)より
(写真・資料/「松本恵子探偵小説選」松本恵子著、「函館文学散歩」はこだてルネサンスの会発行、「なぜ、北海道はミステリー作家の宝庫なのか?」鷲田小弥太・井上美香著、取材協力/函館市文学館)


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